VUCA時代を生き抜くための共創経営
VUCA時代の到来と経済構造の変化
今日ますます将来を描きにくい時代に突入しています。VUCAの時代と言われて久しいですが、より深刻さが増しているように思えます。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとっています。
企業でも個人営業(フリーランスなど)でも【稼ぐ=利益を上げる】ことが難しい経済構造になりました。
一方、AIやICTなどのデジタル技術の進化は目覚ましく、業務効率化もますます進み、結果どんどん人の手から仕事が離れつつあります。もちろん、効率化することによって業務の工程や工数が減り、サービスや製品の質や量が安定することで提供がスムーズになることは、社会にとっても経済にとっても悪いことではないと言えると思います。
第5次産業革命と持続可能性の重要性
ところで、現代は第5次産業革命の時代と言われています。この概念は第4次産業革命の概念に「持続可能性=サスティナブル」や「環境配慮=レジリエンス(回復力)」の視点が加えられた概念です。世界各国は、この概念を基本に社会活動や経済活動を行おうとしています。
+「持続可能性=サスティナブル」や「環境配慮=レジリエンス(回復力)」の視点
我が国日本に目を向けても、毎年のように発生する自然災害は社会活動や経済活動の持続性を阻み、罹災地、罹災者の完全な回復がないまま新たな災害が起こるという凄惨な状態に陥っています。まさに持続可能性と環境配慮や回復力に配慮した経済・社会活動を念頭においた経済活動が求められる時代と言えます。
共創経営の重要性と社会的価値の創出
そこで、どれほどの配慮がなされているのかと足元を見てみますと、まるで配慮の概念をなくしているかのような力が世界中で働いているように窺えます。VUCAの時代、確かに稼ぐ力を維持する事や新たに掘り起こすことは非常に難しい時代であることは否めません。しかし、だからと言って目先のことに目を向けた保護主義的な活動には大きな犠牲が伴います。
共創経営では、事業活動は目先の利益に捉われることなく、社会を豊かにする活動のなかに利益を創出していくものでなければいけないと考えています。その為には、事業を行うための志(パーパス)やビジョン(目的)、ミッション(社会的使命)、バリュー(社会的経済価値)を明確にし、社会に示して恥じない活動や行動をとる必要があります。これは単純に社会に宣誓するだけではなく、実践を通じてこそ意義のある、価値ある存在意義、大義になると確信しています。
人的資本経営と情報時代の企業のあり方
そうした企業の姿勢に魅力を感じて人財という経営資本(資源)のなかでも、とりわけ重要な要素が集まってくるのではないかと考えます。いまの時代は情報の時代と言えるほどさまざまな場面に情報が入り込んでいます。またこの情報はデジタル技術によって一瞬の間に世界中を駆け巡ります。だからこそ、襟を正した活動・行動が求められるのだと思います。そういう点では,いまの若い方、Z世代と呼ばれる方々はそういう情報に敏感なのではないでしょうか。
このように考えてみると、いちどきの流行り廃りに振り回されたものではなく、芯から信頼できる志や目的、社会的使命、社会的価値を紡ぎだせる企業こそこれからの時代をけん引していくに相応しく、だからこそ、そういう企業には良い人財が集まるのではないでしょうか。
こういう人財を大切にする経営を人的資本経営と言います。良くも悪しくも誰にでも情報が届く時代にあって、正しい情報を正しく伝えるには並大抵の努力では出来ないと思います。ゆえにそこを真剣に取り組み、企業としてどう成長するか、社会に対してどうアピールするか、といったことが問われる時代なのだと心から深く感じます。
ノーサイドの経営と共創経営の実践
大変難しい時代を生きる企業において、正解・不正解が紙一重といっても過言ではありません。企業の全員の目で社会や経済の動きを見て考える、ノーサイドの経営の実践に挑戦していかなければ、いまの市場で生き残ることは難しいと思われます。
共創経営では、これまでに経営再建支援や事業再生支援、資金調達支援、CSV経営支援など数多くの経営・事業支援業務、コンサルティング業務に携わらせていただくなかで、市場の厳しさ、社会の冷たさを伴走者として身に感じてきました。だからこそ、そういう境遇におかれた、陥った企業・経営者には、はやくその環境を変えてもらいたい、そして真に向かうべき目的を目指してもらうための一助でありたいと願います。
ぜひ難しい時代を生き抜く佳きパートナーとして、共創経営の智慧の結集を活用していただきたいと思います。